便秘には病的な便秘や、一過性や薬の副作用などで起こる便秘もありますが、日常的に続いている慢性便秘の中にも、弛緩(しかん)性とけいれん性などがあります。
弛緩性便秘とは?
腸の動きが鈍くなったことや、筋力が低下して起こる便秘です。
腸内に便が長時間とどまるため、水分が吸収されてどんどん固くなり、ますます出にくくなるという悪循環を生みます。
けいれん性便秘とは?
腸の蠕動(ぜんどう)運動がストレスなどの理由で過剰になり、けいれん状態になって、便の流れがスムーズに行われずに起こる便秘です。
けいれんがおさまって腸の動きが活発になると下痢を起こすので、便秘と下痢を交互に繰り返す傾向があります。
*弛緩性便秘の場合の工夫
・水分補給
水分をとることで便はやわらかく、出やすくなるため、こまめにとりましょう。
また、冷たい水や牛乳は胃腸を刺激して排便を促す効果があります。
起床後に飲む習慣をつけるとよいでしょう。
・食物繊維の多い食品の摂取を増やす
野菜や海藻類に含まれる食物繊維は、消化されずに腸に送られて便のかさを増やして、腸の動きを促して便通をスムーズにする効果があります。
毎日の食卓に、食物繊維の多い葉物野菜、ゴボウ、芋類、豆類、海藻類など積極的にとり入れてましょう。
・香辛料、酸味、脂質を適度にとる
香辛料や酸味は大腸を刺激して排便を促します。
また、脂質は便のすべりをよくしたり、含まれる脂肪酸が腸を刺激してくれます。
*けいれん性便秘には
・刺激物、脂質、アルコールは控える
けいれん性便秘では、食事のポイントが弛緩性とは違って、腸の緊張を抑えるため、刺激の少ない食べ物をとることが基本です。
香辛料や酸味の強いもの、揚げ物など脂肪の多いもの、アルコールやカフェイン飲料などは控えましょう。
子供の頃に慢性便秘症になると、4人に1人が成人後も症状が続くというデータもあります。(日本小児栄養消火器肝臓学会)
不規則な食生活が要因になって、腸がトラブルをおこしている場合、日頃から腸の働きや腸内のバランスを整える食べ方を心がけることも大切です。
*今回は、乾燥おからとヨーグルトを使ったサラダをご紹介します。
おからは豆腐を製造する過程で、豆乳を絞った際の搾りかすですが、食物繊維が豊富なだけではなく、良質な大豆たんぱく質やカリウムなどとても栄養豊富な食材です。
また、大豆に含まれるオリゴ糖とヨーグルト効果で、腸内環境の改善も期待できる一品です。
おからヨーグルトサラダ
◆【材料】2人分
- 乾燥おから・・・大さじ3
- ヨーグルト・・・大さじ3
- マヨネーズ・・・大さじ2
- 塩、コショウ・・・少々
- きゅうり・・・1/2本
- ミックスビーンズ・・・適宜
*具はハム、コーン、茹でた人参などお好みで加えてください。
【作り方】
- ボウルに乾燥おから、ヨーグルト、マヨネーズを入れしっとりするまで混ぜる。水分が足りないようなら様子を見て豆乳(牛乳)を加える。
- きゅうりはスライスして塩(分量外)で揉んでしばらく置き、水気が出たらしぼる。
- ミックスビーンズは汁気を切っておく。
- 1に2と3を合わせて混ぜて、塩コショウで味を調える。


執筆者:管理栄養士 寺口美里先生
資格
- ●管理栄養士
- ●健康運動指導士
- ●生活習慣病改善指導士
- ●西東京糖尿病療養指導士
企業から委託を受けて全国で特定保健指導や、糖尿病予防事業に携わる傍ら、地域の地区センターで料理教室も開催している。